相続や転居で空き家を持つと、まず気になるのが「解体費用はいくらかかるのか」という点です。
実際、解体には数十万~数百万円かかるため、相場を知ることが大切です。空き家をそのまま放置しておくと、老朽化による倒壊リスクや近隣トラブル、固定資産税の負担など、さまざまな問題につながります。
本記事では2025年最新版の費用相場を構造別・坪数別に解説し、費用を抑える方法や補助金、工事の流れを紹介します。さらに費用が払えない場合の対処法や放置リスクまで解説しました。
空き家の解体費用相場【2025年最新版】
空き家の解体費用は、建物の構造や広さ、立地によって大きく変わります。
木造は比較的安く、鉄骨造や鉄筋コンクリート造は頑丈なため費用が高めです。坪数が増えるほど廃材も多くなり、費用は比例して上がります。
ここからは、構造別・地域別・坪別の相場とそのほかの費用を紹介します。
構造別の解体費用
建物の構造によって解体費用は大きく変わります。頑丈な構造ほど手間と時間がかかり、費用も高くなるのが一般的です。2025年時点の1坪あたりの相場は次のとおりです。
●木造:4万円~5万円
もっとも一般的で解体しやすく、費用も安めです。ただし、古い住宅ではアスベスト使用の可能性があり、調査が必要です。
●鉄骨造:6万円~7万円
鉄骨の切断に特殊な機材を使うため、木造より高額です。軽量か重量かで差はあります。
●鉄筋コンクリート造(RC造):7万円~8万円
もっとも頑丈な構造で、大型重機や専門技術が不可欠です。コンクリートの破砕や重い廃材の処理に費用がかかり、解体費用は最高水準になります。
地域別の解体費用
解体費用は地域によっても差があります。全国的に大きな違いはありませんが、都市部では人件費や運搬費が高くなるため、費用が上がりやすい傾向にあります。
とくに東京都や神奈川県は、狭い土地や密集地での作業が多く、重機が入りにくいため手作業が増えます。その結果、人件費や警備費など都市部特有のコストがかかります。
一方、地方は敷地が広く重機を使いやすいため、比較的安く済むことが多いです。ただし処分場が遠い場合は、運搬費で逆に高くなることもあります。
目安として、都市部は相場より10~20%高め、地方は相場どおりやや安めと考えておくとよいでしょう。
坪別の解体費用
建物の坪数ごとの解体費用相場を構造別にまとめると以下のとおりです。あくまで目安ですが、概算の参考にしてください。
| 坪数 | 木造 | 鉄骨造 | RC造(鉄筋コンクリート造) |
|---|---|---|---|
| 20坪 | 80万~100万円 | 120万~140万円 | 140万~160万円 |
| 30坪 | 120万~150万円 | 180万~210万円 | 210万~240万円 |
| 40坪 | 160万~200万円 | 240万~280万円 | 280万~320万円 |
| 50坪 | 200万~250万円 | 300万~350万円 | 350万~400万円 |
| 60坪 | 240万~300万円 | 360万~420万円 | 420万~480万円 |
たとえば、30坪の木造住宅なら120万~180万円程度が目安です。ただし、この金額には残置物処分や付帯物撤去の費用は含まれません。実際の費用は立地や業者によって変わるため、複数の見積もりを取ることが大切です。
その他の解体費用
基本費用に加え、状況によっては次のような追加費用が発生します。事前に確認しておきましょう。
●残置物の処分費用
家具や家電、布団などが残っていると数十万円かかる場合があります。自分で処分すれば費用を抑えられますが、業者に依頼すると産業廃棄物扱いで高額になりやすいです。
●付帯物の撤去費用
建物以外の設備も撤去費用がかかります。目安はカーポート5万~15万円、ブロック塀1万~3万円(1mあたり)、庭木1万~5万円、物置3万~10万円、門扉やフェンス3万~8万円です。大きさや材質で変動します。
●アスベスト除去費用
1975年以前の建物は要注意です。アスベストは肺がんなどを引き起こす有害物質で、除去には特殊処理が必要です。危険度が高い場合は数百万円かかることもあります。自治体の補助金制度を確認すると安心です。
●地中埋設物の撤去費用
解体中に浄化槽や井戸が見つかると追加費用が発生します。浄化槽は5万~10万円、井戸は10万~30万円が目安です。適切な処理をしないと地盤沈下の原因になるため、専門業者への依頼が欠かせません。
解体費用を抑える方法
空き家の解体には多額の費用がかかりますが、工夫次第で費用を抑えることが可能です。ここでは、実践的な費用削減のポイントを6つ紹介します。
費用が高くなる時期を避ける
解体費用は時期によっても変動します。
【避けたい時期】
●12月~3月:年末年始から年度末は公共工事が集中し、人件費が上がりやすいです。
●梅雨、台風、積雪、猛暑:悪天候や過酷な気候で工事が中断しやすく、工期延長や人件費増加につながります。
【おすすめの時期】
●4月~6月、9月~11月:天候が安定し、工事がスムーズに進みやすい時期です。閑散期にあたれば相場より安くなる可能性もあります。
ただし、時期による差は業者ごとに異なるため、必ず複数の業者に見積もりを取りましょう。
不用品は処分しておく
家具や家電、日用品が残っていると、解体業者に処分を依頼した場合は産業廃棄物扱いとなり、高額な費用がかかります。事前に自治体の回収に出せば、数万円~数十万円の節約につながります。
また、リサイクルショップやフリマアプリを使えば、売却益を解体費用に回せます。家具や家電、衣類など、まだ使えるものは積極的に活用しましょう。遺品整理が必要な場合は、専門業者に依頼したほうが安く済むケースもあります。
解体業者へ早めに相談する
解体工事は、計画に余裕を持つほど費用を抑えやすくなります。早めに相談すれば、業者はスケジュールを組みやすく、重機や人員の確保も効率的にできます。急ぎの工事では割増料金になることもあるため、注意が必要です。
また、事前に相談することで「この付帯物は自分で撤去できる」「この時期なら安くできる」といった具体的なアドバイスをもらえる場合もあります。
さらに補助金を利用する際は、申請から承認まで数週間~数か月かかります。工事前に手続きが必要なため、早めの準備が欠かせません。
複数の見積もりを取る
解体費用は業者によって差が大きいため、必ず複数社から見積もりを取りましょう。3社以上に依頼すれば相場を把握でき、価格交渉の材料にもなります。
比較するときは金額だけでなく、次の点も確認してください。
●見積もり項目が明確か
●追加費用や条件が明記されているか
●工事内容と工期が具体的か
●廃棄物処理が適切でマニフェストが発行されるか
●解体業の登録・許可を持っているか
なお、極端に安い見積もりには要注意です。必要な工程を省いたり、不法投棄を行う業者の可能性もあります。費用とあわせて信頼性を重視しましょう。
空き家から近い業者を選ぶ
解体業者が近ければ、運搬費や人件費を抑えられます。重機の回送費や廃材処分の運搬費は距離が長いほど高くなりますが、近ければ移動時間も短く効率的です。その結果、工期短縮や費用削減につながります。
また、地元の業者なら地域の特性を理解しており、自治体への届出や近隣対応もスムーズです。コスト面だけでなく、安心感という面でもメリットがあります。
補助金・助成金制度を利用する
自治体の補助金を活用すれば、解体費用を大きく減らせます。国から個人向けの補助はありませんが、多くの自治体では「空き家対策総合支援事業」などを通じて、解体費用の5分の2~2分の1程度が支給されます。
たとえば、東京都の「東京都空き家家財整理・解体促進事業」では、家財整理に最大5万円、解体に最大10万円が補助されます。
まずは自治体の窓口や公式サイトを確認し、早めに申請準備を進めましょう。
出典:国土交通省ウェブサイト
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/2.pdf
出典:東京都空き家家財整理・解体促進事業ウェブサイト
https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/akiya/hojo/kaitai_seiri
空き家解体工事の流れ
空き家の解体は、見積もりから建物滅失登記までいくつもの工程があります。ここでは、解体工事を6つのステップに分けて解説します。
1.見積もりをして業者を決める
まずは「業者選び」です。複数の業者に現地調査を依頼し、必ず立ち会って希望を伝えましょう。「この家具は自分で処分したい」「塀は残したい」など具体的に伝えることで、見積もりの精度が高まります。
見積書を受け取ったら次を確認してください。
●工事内容や工期が明確か
●追加費用の条件が記載されているか
●マニフェスト(産業廃棄物管理票)の発行があるか
●近隣への配慮(挨拶や防音対策)が含まれているか
信頼できる業者の条件は、登録・許可があること、実績と評判がよいこと、説明が丁寧で自社施工体制があることです。安すぎる見積もりには注意し、適正価格で安心できる業者を選びましょう。
2.解体の準備
解体業者が決まったら、工事に向けた準備を進めます。この段階で行うべきことは複数あり、適切に対応しないと工事が遅れたり、トラブルが発生したりすることもあります。
事前調査をする
重機の搬入経路や周辺建物との距離、境界線、埋設物、アスベストの有無などを確認します。調査結果をもとに工期や方法が決まるため重要です。
工事の7日前までに解体工事届出を行う
床面積80㎡未満は「解体工事届出書」、80㎡以上は建設リサイクル法にもとづく届出が必要です。通常は業者が代行します。
出典:横浜市ウェブサイト
https://www.city.yokohama.lg.jp/business/bunyabetsu/gomi-recycle/sangyo/recycle/ken-re4.html
出典:国土交通省ウェブサイト
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/recycle/pdf/recyclehou/todokede/todokede10.pdf
道路使用・占用許可を警察に申請する
工事で道路を使用する場合は警察署に申請が必要です。足場や重機の設置、長時間駐車が該当します。こちらも業者が対応するのが一般的です。
ライフラインの停止
解体工事の前に、電気とガスは必ず停止手続きを行いましょう。水道は工事で使う場合があるため、業者と相談してタイミングを決めます。
近隣住民への挨拶
騒音や振動のトラブルを防ぐため、施主と業者で一緒に挨拶を行うのが理想です。両隣と裏の3軒、できれば向かい側も含め5~6軒程度に説明しましょう。
3.解体工事
準備が整ったら工事が始まります。主な流れは次のとおりです。
●足場・養生シートの設置
建物の周囲に足場を組み、養生シートで覆います。粉塵や騒音を抑えるため、近隣への配慮として欠かせない工程です。
●屋根・内部の手作業解体
屋根材やキッチン、浴室などを人の手で外します。アスベストが疑われる部分は特に慎重に処理されます。窓や建具も分別のうえ撤去されます。
●重機による本体解体
手作業が終わると油圧ショベルなどの重機で建物本体を壊していきます。木造は数日、鉄骨造やRC造では1週間ほどかかることもあります。騒音や振動のため、作業時間は通常平日の8時~17時に限定されます。
4.工事で出た廃材の処理
解体で出る廃材は木材、コンクリート、鉄筋、ガラスなどに分別し、それぞれ専門の処分場へ運びます。
ここで重要なのがマニフェスト(産業廃棄物管理票)制度です。これは廃棄物が適正に処理されたことを証明する書類で、業者は必ず発行しなければなりません。
不法投棄があれば施主も罰則を受ける可能性があります。業者から最終処分を示すE票のコピーを必ず受け取り、保管しておきましょう。
出典:群馬県ウェブサイト
https://www.pref.gunma.jp/site/sanpai/131411.html
5.整地をする
解体後は土地を平らに整地します。重機で地面を均し、石や廃材を取り除くのが一般的です。売却や駐車場利用を予定している場合は、より丁寧な整地や舗装を依頼するとよいでしょう。
作業後は周辺道路も清掃し、粉塵や泥を残さないようにして近隣への配慮を行います。
6.建物滅失登記申請をする
解体後は1か月以内に「建物滅失登記」を法務局へ申請しなければなりません。怠ると10万円以下の過料が科される可能性があります。
必要書類は、申請書、解体業者の証明書や印鑑証明、建物の登記事項証明書、本人確認書類などです。自分で申請すれば費用は証明書代(約1,000~3,000円)だけですが、不安な場合は土地家屋調査士に依頼できます。依頼費用は3万~5万円ほどです。
登記を忘れると建物の固定資産税が課税され続けるため、必ず手続きを済ませましょう。
出典:法務局ウェブサイト
https://houmukyoku.moj.go.jp/shizuoka/page000001_00511.pdf
空き家を解体するメリット
ここでは、空き家を解体する主なメリットを6つ紹介します。
近隣への迷惑を防げる
空き家を放置すると、近隣に大きな迷惑をかける可能性があります。解体すれば、こうしたリスクを根本から解消できます。
老朽化した建物は、地震や台風で倒壊したり建材が飛散したりする危険があります。被害を出せば所有者が賠償責任を負うことになります。
また、不法投棄や不法侵入、放火の温床になるケースも少なくありません。さらに、ネズミやスズメバチなど害虫・害獣が住みつき、悪臭や被害を招くこともあります。
近隣トラブルを防ぎ、良好な関係を維持するためにも、空き家の解体は有効です。
土地を売却しやすい
空き家を解体して更地にすると、売却がぐっとスムーズになります。
建物が残っている場合、買い手は解体費用や改修費用を考慮しなければならず、古い建物は不安要素となります。
一方、更地なら土地の広さや立地だけで判断でき、購入後すぐに活用可能です。解体の手間や費用も不要なため、心理的ハードルが下がります。
その結果、売却期間が短くなり、場合によっては建物付きより高値で売れることもあります。
管理の手間がなくなる
空き家を維持するには換気や掃除、草刈り、見回り、簡単な修繕など多くの手間がかかります。遠方に住んでいれば移動の時間や交通費も負担です。管理サービスを利用する方法もありますが、月額で数千円~数万円の費用が発生します。
解体して更地にすれば、必要なのは雑草管理程度です。手間も費用もほぼゼロになり、大きな負担軽減につながります。
土地活用などの選択肢が増える
更地にすれば、土地を自由に使えるようになります。建物が残っていると活用が制限されますが、更地なら最初から多様な用途を選べます。
活用例としては、駐車場や賃貸住宅、アパート経営、トランクルーム、太陽光発電、貸地、新築住宅の建築など、さまざまな活用方法が考えられます。
実際に、株式会社NEXERとINTERIQによるアンケート調査では、相続した不動産について家族で話し合う際には「取り壊して更地にすること」や「活用方法をどうするか」といった実務的な内容が多く挙げられています。
ただし、土地活用には初期投資や管理の手間もともなうため、資金力や時間に応じて検討しましょう。
調査データ引用元:記事公開後、該当URLをご記載ください。
こちらの記事では、相続した空き家の活用方法について解説しています。
相続手続きや注意点も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
空き家分の固定資産税がなくなる
建物を解体すると、翌年から建物部分の固定資産税が不要になります。これは年間数万~十万円ほどかかるため、この負担がなくなるのは大きなメリットです。
ただし、解体後は「住宅用地の特例」が外れ、土地の固定資産税が上がる可能性があります。
家付きより高く売却できる
古い建物は買い手にとってマイナス要素になりがちです。解体費用の負担や建物の瑕疵を心配され、大幅な値引きを要求されることもあります。
一方、更地なら解体の手間や費用が不要で、購入後すぐに新築を建てられるため、評価が高まりやすく、家付きより高値で売れるケースがあります。
とくに築40年以上の老朽住宅、修繕が難しい建物、立地がよく新築需要がある土地では更地の方が有利です。ただし、歴史的価値やリノベーションの可能性がある建物は、残した方がよい場合もあるため、不動産会社に相談して判断しましょう。
空き家を解体するデメリット
空き家の解体には多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。解体を決断する前に、これらのデメリットをしっかりと理解しておくことが重要です。
解体費用が高額になる可能性がある
空き家の解体には数十万~数百万円がかかり、大きな負担になります。費用は建物の規模や構造、立地条件で大きく変わります。
とくに鉄骨造や鉄筋コンクリート造、アスベストの使用、狭小地や密集地で重機が入らない現場、道路条件が悪く手作業が増えるケース、残置物や付帯物が多い場合、浄化槽や井戸など地中埋設物がある場合は、追加費用が発生しやすいです。
また、解体後の売却や活用の予定がないと費用を回収できません。解体の必要性と費用対効果を慎重に検討しましょう。
固定資産税の減税が適用外になる
空き家を解体すると「住宅用地の特例」が外れ、土地の固定資産税と都市計画税が大幅に増えます。具体的には固定資産税は最大6分の1、都市計画税は最大3分の1に軽減されますが、更地にするとこの特例がなくなり、税額が最大6倍・3倍になる可能性があります。
ただし「管理不全空き家」「特定空き家」の状態で「勧告」を受けている場合、建物が残っていても特例は解除されるため、このデメリットは実質なくなります。
空き家の解体費用が払えない場合の対処法
解体費用は高額なため「解体したいけれど資金が足りない」と悩む方も多いでしょう。しかし、解体以外にも空き家問題を解決する方法があります。
ここでは、費用が払えないときに検討できる7つの対処法を紹介します。
解体ローンの活用
解体費用を一括で払えない場合は、解体ローンを検討しましょう。「空き家解体ローン」や「空き家対策ローン」としてJAバンクや地方銀行が提供しており、フリーローンより低金利(年2~4%程度)で利用できます。
担保や保証人が不要なケースも多く、借入限度額は500万~1,000万円、返済期間は10年前後が一般的です。審査に数週間かかることもあるため早めの申込みが安心です。自治体の補助金と併用できれば、さらに負担を軽減できます。
賃貸に出す
解体せずに空き家を貸し出せば、費用をかけずに済み、家賃収入を得られる可能性があります。立地や建物の状態が良ければ有効な選択肢です。
ただし、リフォームや修繕が必要なら初期費用が発生します。賃貸需要が少ない地域では借り手が見つからず、費用を回収できないリスクもあります。
管理の手間もともなうため、賃料とリフォーム費用のバランスを事前にシミュレーションし、不動産会社に相談することが大切です。
そのままにして売却する
空き家を解体せず「古家付き土地」として売却する方法もあります。買い手は建物をそのまま活用するか、自分で解体して新築を建てられます。
【メリット】
●解体費用をかけずに売却できる
●解体後に買い手が見つからないリスクを避けられる
●建物によってはリノベ希望の買い手が現れる可能性がある
【デメリット】
●買い手が解体費用分を値引き要求する可能性がある
●更地より売却価格は低めになりやすい
●契約不適合責任を問われるリスクがある
たとえば、30坪木造住宅で解体費150万円かかる場合、値引き交渉で100万円程度に収まれば、自分で解体するより得になる計算です。どちらが有利かは、不動産会社に相談して判断しましょう。
こちらの記事では、空き家を売却について解説しています。
具体的な方法や流れも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
売却した後の利益で解体する
買い手が決まってから解体する「更地渡し」という方法もあります。売買契約で「引き渡しまでに売主が建物を解体する」と条件を付け、売却代金を受け取ってから解体費用に充てます。
【メリット】
●買い手が決まってから解体するため無駄な費用がない
●解体費用を確実に回収できる
●買い手にとって手間がなく、高値で売れる可能性がある
【デメリット】
●解体期間(1~2か月)を引き渡しまでの猶予として設ける必要がある
●解体工事の遅れはトラブルにつながる
資金が不足している場合に有効な方法ですが、スケジュール管理を徹底することが重要です。
空き家バンクを利用する
空き家バンクは、自治体が運営するマッチングサービスです。空き家を売りたい・貸したい所有者と、利用したい人をつなぎます。
【メリット】
●登録料や仲介手数料が無料または安い
●自治体運営のため信頼性が高い
●移住希望者とつながりやすい
●リフォーム補助金など支援が受けられる場合がある
【デメリット】
●買主や借主が見つかるまで時間がかかることがある
●立地条件が悪いとマッチングしにくい
●築年数や空き家期間など、登録条件がある場合もある
急ぎの売却には不向きですが、時間に余裕があるなら有効な選択肢です。自治体のホームページで利用できるか確認してみましょう。
出典:国土交通省ウェブサイト
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_tk3_000131.html
0円譲渡のサイトを利用する
「とにかく空き家を手放したい」という場合は、民間企業が運営する0円譲渡サイトの活用も選択肢です。無償で譲りたい人と受け取りたい人をマッチングするサイトです。
【メリット】
●売却価格にこだわらず手放せる
●固定資産税や管理の負担から解放される
●解体費用が不要
【デメリット】
●契約手続きは当事者同士で行う必要がある
●サポートが限定的で、譲受人が見つかりにくいこともある
●譲渡後のトラブル対応も自己責任
0円譲渡は最終手段と考え、まずは他の方法を検討するのがおすすめです。
不動産会社に買い取ってもらう
解体費用が払えないとき、もっとも確実なのは専門の買取業者に直接売却する方法です。老朽化した空き家や事故物件など、一般市場では買い手がつきにくい「訳あり物件」でも、専門業者なら積極的に買い取ってくれます。
【メリット】
●解体費用や処分費用が不要
●残置物があってもそのまま売却できる
●最短数日で現金化できる
●仲介手数料なし
●契約不適合責任が免責される
●近隣に知られず売却できる
【注意点】
●業者によって査定額に差が出やすいため、複数社に相談するのが安心
●買取後の再販価格が高額になっても、差益は業者の利益になる
INTERIQは、老朽化した空き家や訳あり物件の買取を専門としており「他社で断られた物件でも高額買取の実績があります。費用も手間もかけずに空き家を手放せるので、まずは無料査定をご利用ください。
空き家を放置するリスクと法的責任
「費用が高い」「手続きが面倒」と放置した空き家には、大きなリスクがあります。場合によっては法的責任を問われたり、多額の費用を負担することにもなりかねません。
ここでは、空き家を放置することで起こりうる具体的なリスクと責任について解説します。
特定空き家指定されると税金が上がる
管理されていない空き家は、自治体から「特定空き家」に指定されることがあります。これは空家等対策特別措置法にもとづき、倒壊の危険や悪臭・害虫の発生、景観の悪化、生活環境への悪影響がある建物を指します。
指定されると住宅用地の特例が外れ、固定資産税が最大6倍になる可能性があります。さらに、自治体から改善命令を受け、従わなければ50万円以下の過料や行政代執行での強制解体につながります。
行政代執行の場合、解体費用は通常の1.5〜2倍に膨らみ、所有者に請求されます。
また、その一歩手前として「管理不全空き家」という区分もあり、庭木の繁茂やごみの放置、外壁の破損など、周辺環境へ悪影響を及ぼし始めている段階を指します。
管理不全空き家と判断されると、自治体から指導や助言が入り、改善がなされない場合は「特定空き家」へ移行する可能性があります。
空き家の老朽化や倒壊のおそれがある
放置された空き家は急速に老朽化し、屋根や外壁が劣化して地震や台風で倒壊する危険があります。倒壊や建材の飛散で近隣に被害を与えれば、所有者が損害賠償責任を負います。実際に数百〜数千万円規模の賠償を命じられた例もあります。
さらに、老朽化した空き家は火災リスクも高く、放火や劣化した配線による発火で延焼すれば責任を問われます。
空き家の所有者には建物を安全に管理する法的義務があります。怠れば民事責任だけでなく、刑事責任に発展する可能性もあるのです。
維持費がかかる
誰も住んでいない空き家でも、所有している限り費用は発生します。固定資産税や都市計画税で年間数万~数十万円、火災保険料で数万円、草刈りや除草費用も数万円かかります。業者に管理を委託すれば、月数千円~数万円の費用も必要です。
これらは毎年積み重なり、10年放置すれば数十万~数百万円の負担になります。解体費用を惜しんで放置しても、結局は維持費として大きな出費が続くのです。
不法投棄などのリスクがある
放置された空き家は、不法投棄の標的になりやすいです。敷地に捨てられたゴミは悪臭を放ち、害虫や害獣を呼び寄せ、近隣トラブルにつながります。
不法投棄されたゴミの処分は所有者の責任で行う必要があり、大量なら処分費用が数十万円にのぼることもあります。さらに、ゴミが原因で火災が発生する危険もあります。
こうした状態は「特定空き家」に指定される要因にもなるため、早めの対策が欠かせません。
害虫などの住処になる
放置された空き家は、ネズミやアライグマなどの害獣、シロアリやゴキブリ、スズメバチといった害虫の住みかになります。繁殖が進めば、近隣住宅にまで被害を及ぼし、所有者が責任を問われることもあります。
被害の例としては、悪臭や騒音、糞尿による衛生被害、シロアリによる構造材の損傷、農作物への被害、感染症リスクなどがあります。
駆除には専門業者が必要で、費用は数万~数十万円かかります。放置すれば被害も費用も膨らんでいきます。
資産価値が下がる
空き家を放置すると資産価値は急速に低下します。換気不足でカビやダニが発生し、壁や床の腐食や排水管の劣化が進むためです。
劣化が進んだ建物は買い手がつきにくく、売却価格も大幅に下がります。リフォームに解体以上の費用がかかるケースもあり「売るに売れない、解体もできない」という状況に陥る可能性があります。
まとめ
空き家の解体費用は木造30坪で120万~180万円が相場です。構造や立地によって変わり、鉄骨造やRC造はさらに高額になります。
空き家を放置することは、特定空き家指定による税金の増加、倒壊リスク、損害賠償責任など、多くのリスクをともないます。維持費も毎年かかり続けるため、早期に適切な対応を取ることが重要です。
INTERIQでは、空き家はもちろん、ゴミ屋敷や欠陥住宅などの買取を専門に行っています。最短即日での買い取りが可能で、買い取りを断られた物件でもそのまま売却できます。
費用と手間をかけずに解決するお手伝いをいたします。ぜひお気軽にお問い合わせください。


