空き家を売却するには?具体的な方法や流れ・注意点を解説

2025.11.07

相続した実家をどうすればよいのか分からず、そのまま空き家になっていませんか?空き家を放置すると、固定資産税の負担が増えるだけでなく、近隣トラブルなどのリスクを招く恐れがあります。

本記事では、空き家を売却する際の具体的な方法や手続きの流れ、注意すべきポイントをわかりやすく解説します。あわせて、早期売却によって得られるメリットや活用できる税制上の優遇措置についても紹介します。

空き家を売却せずに放置するリスク

空き家を持ち続けることは、想像以上に大きな負担やリスクを生む可能性があります。

とくに、2023年の「空家等対策推進法」の改正により、所有者の責任はこれまで以上に重くなりました。空き家をそのまま放置すると、思わぬ費用負担やトラブルを招く危険性が高まるため、早めの対応がこれまで以上に重要になっています。

維持費用がかかる

空き家を所有している限り、住んでいなくても維持費用がかかり続けます。代表的なものとして「固定資産税」と「都市計画税」があり、これらは毎年必ず課税されます。

課税の基準日は毎年1月1日であり、その時点で固定資産課税台帳に登録されている所有者が納税義務を負います。

さらに注意しなければならないのが、2023年の法改正で新設された「管理不全空き家」という制度です。管理不全空き家として「勧告」を受けると、これまで適用されていた「住宅用地の特例」が外れます。

その結果、固定資産税は最大で6倍、都市計画税は最大で3倍に増える可能性があります。

こちらの記事では、空き家の固定資産税について解説しています。
税金が6倍になる時期や注意点も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

近隣トラブルに発展する可能性がある

管理が不十分な空き家は、さまざまな問題を引き起こし、近隣トラブルに発展する恐れがあります。老朽化した建物が倒壊する危険性や放火の標的になるリスクに加えて、害虫や害獣が発生する問題も起こりやすくなります。

こうした問題が生じると、近隣住民から苦情や改善要求が寄せられる事態を避けられません。対応を後回しにすればトラブルが長期化し、場合によっては訴訟にまで発展して、所有者が大きな負担を背負うことになります。

資産価値が下がる

不動産の価値は築年数とともに少しずつ下がっていきますが、空き家をそのまま放置すると下落のスピードが一段と早まってしまいます。

換気不足による湿気のこもりや雨漏りを放置することで建物が急速に傷み、設備の故障が重なると短期間で大きく資産価値を失ってしまうケースも少なくありません。

将来的に売却を考えているのであれば、できるだけ早めに行動することが大切です。時間が経つほど売却価格は下がりやすくなり、最終的には買い手が見つからなくなるリスクも高まってしまいます。

特定空き家に指定される

2023年12月に改正された「空家等対策推進法」では、従来の「特定空き家」に加えて、新しく「管理不全空き家」という区分が設けられました。

「特定空き家」に指定されると、自治体から助言や指導が行われ、勧告・命令・行政代執行といった段階的な対応に進みます。「管理不全空き家」に指定された場合も、自治体からの指導→勧告を受ける流れとなります。

どちらの場合も「勧告」を受けると「住宅用地の特例」が適用されなくなり、固定資産税は最大で6倍、都市計画税は最大で3倍に増えてしまいます。さらに「命令」に従わないと50万円以下の過料が科され、最終的には行政代執行によって強制的に解体される可能性があります。

その費用はすべて所有者が負担しなければならず、大きな経済的ダメージにつながります。こうしたリスクは決して特別なケースではありません。

株式会社NEXERとINTERIQの合同調査によると、将来的に実家を相続する可能性があると答えた人は56.8%にのぼり、そのうち44.1%は「住む予定」と回答した一方で、29.3%は「売却を検討している」と答えています。

実家を空き家のまま放置すれば「特定空き家」「管理不全空き家」に指定される可能性は高まります。そのため「相続してから考える」のではなく、早い段階から「住む」「売る」「貸す」といった選択肢を検討しておくことが大切です。

調査データ引用元:記事公開後、該当URLをご記載ください。

出典:e-GOV法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/426AC1000000127

空き家を売却する方法

空き家を売却する方法はいくつかあり、それぞれにメリットとデメリットがあります。物件の状態や立地条件、そして売却にかけられる時間や費用を総合的に考慮し、自分に合った方法を選ぶことが大切です。

そのままの状態で売却する

もっとも基本的な方法は、空き家を現状のまま「中古戸建住宅」や「古家付き土地」として売却する方法です。

この方法のメリットは、手間や費用をほとんどかけずに売却できる点です。解体やリフォームにかかる費用は買主が負担するため、売主が追加の出費を抑えることができます。築年数が古い家や傷みが目立つ建物でも、そのまま購入を希望する人がいるケースは少なくありません。

一方で、売却価格がほかの方法より安くなる傾向がある点や、建物の状態によっては契約不適合責任を負う可能性がある点には注意が必要です。売却後に雨漏りやシロアリ被害などが見つかると、修繕費を請求されるリスクがあるため、事前にインスペクション(建物診断)を受けておくことが安心につながります。

解体してから売却する

空き家を解体し、更地にしてから売却する方法もあります。

この方法のメリットは、古家付き土地として売却する場合より高値で取引できる可能性が高い点です。更地は用途の自由度が広がるため、買い手が見つかりやすい傾向があります。

一方、デメリットは解体費用が必要になり、木造住宅なら1坪あたり3〜5万円程度が相場とされています。さらに建物を取り壊すと「住宅用地の特例」が適用されなくなり、固定資産税が大幅に増えてしまいます。

こちらの記事では、空き家の解体費用について解説しています。
費用相場や工事の流れも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

リフォームしてから売却する

空き家をリフォームしてから売却する方法もあります。外観や内装を整えることで買い手に好印象を与えられ、スムーズな売却につながる可能性があります。

一方で、リフォーム費用は高額になるケースが多く、その分を売却価格に反映できるとは限りません。過度に投資すると利益を圧迫する恐れがあるため、必要最低限の修繕にとどめて売却活動を進めることをおすすめします。

不動産会社を利用する

不動産会社を通じて売却する場合は、大きく分けて「仲介」と「買取」の2つの方法があります。

仲介は、市場価格に近い金額で売却できる可能性がある点が魅力です。ただし、売却までに3〜6か月程度かかるのが一般的で、さらに仲介手数料も必要になります。

一方、買取は不動産会社が直接物件を買い取る方法です。仲介手数料が不要で、最短で数日から1か月程度で現金化できるスピード感が大きなメリットです。また、契約不適合責任を免除する特約がつくケースが多いため、売却後のトラブルを避けやすくなります。

さらに、雨漏りや建物の傾きといった不具合がある物件でも、再販やリフォームのノウハウを持つ専門業者に依頼すれば、そのままの状態で買い取ってもらえる可能性があります。

こちらの記事では、訳あり物件の売却方法について解説しています。
売却のメリットや業者の選び方も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

空き家を売却するまでの流れ

空き家の売却は一見すると複雑に思えますが、基本的な流れを理解しておけば安心して進められます。全体の手順を把握しておくことで、余計な手間やトラブルを避け、スムーズに売却を進められるでしょう。

1.不動産会社に査定を依頼する

売却を進めるうえで最初に大切なのは、物件の価値を正しく知ることです。そのためには、複数の不動産会社に査定を依頼し、相場を把握しておくことが欠かせません。

査定方法には「机上査定」と「訪問査定」の2種類があります。1社だけの査定では適正な価格を判断しにくいため、少なくとも3社以上に依頼して比較することをおすすめします。もし買取を検討している場合は、買取を専門とする業者に依頼すると安心できます。

INTERIQでは無料査定を行っており、訳あり物件や売却が難しい物件についても、豊富な実績と専門知識をもとに適正な価格を提示しています。

こちらの記事では、空き家の査定方法について解説しています。
査定ポイントや注意点も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

2.媒介契約を結ぶ

仲介で売却する場合は、不動産会社と媒介契約を結ぶ必要があります。媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があり、それぞれ依頼できる会社の数や報告義務の有無が異なります。

媒介契約を結んだ場合、売却が成立すると仲介手数料を支払うことになります。一方で、買取を選ぶ場合は媒介契約そのものが不要で、仲介手数料も発生しません。

3.売却活動を開始する

媒介契約を結ぶと、不動産会社による販売活動が始まります。広告掲載や内見対応などを経て、買い手を探していく流れです。売却が成立するまでには、一般的に3〜6か月程度かかることが多いでしょう。

一方、買取の場合は売却活動そのものが不要です。査定後に価格へ合意すれば、すぐに売買契約へ進めるため、時間と手間を大幅に省くことができます。

4.売買契約を結ぶ

購入希望者と条件が合意に達したら、売買契約を締結します。契約時には手付金の授受が行われ、売主は仲介手数料の半額を不動産会社に支払うのが一般的です。

一方、買取を選んだ場合は仲介手数料の支払いが不要です。さらに、多くの場合は契約不適合責任が免責される特約が付けられるため、売主の負担やリスクを大幅に軽減できます。

5.空き家を引き渡す

売買契約で定められた期日になると、残代金の決済と物件の引き渡しが行われます。所有権移転登記や鍵の受け渡しもこのタイミングで実施され、引き渡し完了までの期間は契約から1〜2か月程度が一般的です。

一方、買取を選んだ場合はこれらの手続きがスピーディーに進み、現金化までの期間を大幅に短縮できます。

空き家を売却する際の注意点

空き家を売却する際には、事前に押さえておくべきポイントがいくつもあります。これらを理解しておくことで、思わぬトラブルを避け、安心して取引を進めることができます。

具体的にどんな点に気をつけるべきなのか、順に見ていきましょう。

自分で相場を調べておく

不動産会社に査定を依頼する前に、自分でもある程度の相場を把握しておくことが大切です。たとえば、不動産ポータルサイトで周辺の類似物件の価格を確認したりする方法があります。

ただし、老朽化が進んでいる空き家の場合、一般的な相場情報では正確な判断が難しいこともあります。そのため、目安を把握したうえで専門家の査定を活用するのが安心です。

名義変更が完了しているか確認する

相続で取得した空き家は、まず相続登記が完了しているかを必ず確認してください。2024年4月から相続登記は義務化されており、相続開始から3年以内に登記を行わなければ、10万円以下の過料が科される可能性があります。

登記簿上の名義人と実際の売却予定者が一致していなければ、売却手続きを進めることはできません。さらに、相続人が複数いる場合は全員の同意が必要となるため、早めの対応が欠かせません。

出典:東京法務局公式サイト(https://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/page000275.html

こちらの記事では、相続した空き家の活用方法について解説しています。
手続きや注意点も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

抵当権抹消登記が済んでいるか確認する

住宅ローンを完済していても、登記簿に抵当権が残っているケースは少なくありません。抵当権が設定されたままの物件は、買主にとって大きな不安材料となり、取引がスムーズに進まない可能性が高まります。

抵当権とは、住宅ローンを借り入れる際に金融機関が建物や土地に設定する権利です。万一ローンの返済が滞った場合、金融機関は抵当権を行使して対象となる不動産を競売にかけ、貸したお金を回収できる仕組みになっています。

注意が必要なのは、抵当権は住宅ローンを完済したからといって自動的に消えるものではない点です。所有者が抵当権抹消登記の手続きを行う必要があるため、売却前に必ず確認しておきましょう。

契約不適合責任を問われないか確認する

2020年の民法改正により、従来の「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」に変わりました。これは、売却後に契約書で合意していない欠陥が見つかった場合に、売主が修補や損害賠償などの責任を負う制度です。

とくに古い空き家では、雨漏りやシロアリ被害、設備の不具合などが後から発覚するリスクが高く、売主にとって大きな負担になる可能性があります。

このリスクを避ける方法のひとつが、買取を利用することです。買取の場合「契約不適合責任免除特約」が付けられるため、売却後に欠陥が見つかっても追加負担を負うリスクが大幅に軽減されます。

相続開始から3年以内に売却する

相続で取得した空き家を売却する場合「3000万円特別控除」が適用できるかどうかが大きなポイントになります。この制度は、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却した場合に適用されます。

期限を過ぎると控除が使えず、税負担が大きくなる可能性があります。とくに相続した物件は老朽化が進みやすく、売却時期を逃すと価格が下がるリスクも重なります。

もし期限が迫っている場合は、スピード重視の買取を検討するのも有効です。買取なら最短で売却を完了できるため、控除の期限内に確実に取引を終えられます。

空き家に関するよくある質問

空き家の売却を検討する際、多くの方が同じような疑問や不安を抱えています。ここでは代表的な質問を取り上げ、分かりやすく回答していきます。

空き家の売却にかかる税金は?

空き家を売却して利益(譲渡益)が出た場合、主に譲渡所得税、住民税、そして契約書に貼付する印紙税などがかかります。譲渡所得税の税率は所有期間によって異なり、5年以下の場合は30.63%、5年を超えると15.315%になります。

ただし、相続した空き家については一定の要件を満たすことで「3000万円特別控除」が適用されます。この控除により、多くの場合は税負担を大幅に抑えられ、場合によっては非課税となることもあります。

こちらの記事では、空き家売却時の税金について解説しています。
控除の条件や注意点も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

空き家になったマンションのリスクは?

マンションが空き家になった場合でも、管理費や修繕積立金の支払いは続きます。一般的には月額2〜3万円程度の負担が発生し、長期化すると大きな出費となります。

さらに、築年数の古いワンルームマンションなどは賃貸に出しにくく、仲介による売却も時間がかかるケースが少なくありません。その間にも費用負担と資産価値の下落が進んでしまいます。

こちらの記事では、マンションが空き家になる原因について解説しています。
放置リスクや活用方法も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

空き家が売れない理由は?

空き家がなかなか売れないのにはいくつかの共通した原因があります。代表的なのは、売却価格の設定ミス、建物の老朽化や欠陥、立地条件の悪さ、相続登記が未了など権利関係の複雑さ、そして不動産会社の選定ミスです。

しかし、このような「売れにくい物件」であっても解決策はあります。INTERIQでは築古物件や立地に難がある物件でも積極的に買い取りを行っています。他社で断られたケースでも、現状のまま引き取れる可能性がありますので、安心してご相談ください。

まとめ

空き家を放置すると、固定資産税の増額や近隣トラブル、資産価値の下落など、さまざまな問題につながります。とくに2023年の法改正以降は、早めの対応がこれまで以上に重要になっています。

売却方法には、現状のまま売る方法、解体してから売る方法、リフォームしてから売る方法、そして不動産会社の仲介や買取を利用する方法があります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、物件の状態や売却にかけられる時間を考慮して選ぶことが大切です。

とくに買取は、不動産会社が直接買い取ってくれる仕組みのため、仲介手数料が不要で売却後すぐに現金化できる点が大きな魅力です。

INTERIQでは、空き家などの訳あり物件の買取を専門に行っています。「築年数が古くて売れるか不安」「他社で断られた」といった物件でも、豊富な実績とノウハウで適正価格での買取が可能です。

無料査定は随時受付中ですので、空き家の売却でお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

株式会社INTERIQでは、訳あり物件の買い取りに関する相談を受け付けております。お困りの際にはぜひお問い合わせください。

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